2020年美術展3選
観劇は出来ぬ!飲食も出来ぬ!美術館ならかなり厳重、ということで今年は美術に関する本を読みつつ気になる特別展且つ行けそうな特別展に例年より多く足を運んだ。だいぶ選んだけど。上半期に突如日本美術に興味が沸いて最初は神奈川沖浪裏カッコイイ最高だったのにいつの間にか屏風絵の美しさに着地した。
①桃山―天下人の100年展【東博】
日本美術初心者の私には眩いばかりの国宝・重要文化財の数々で感嘆の連続、ありがとう東博、こんな時期に大変だっただろうな。。「生で本物を見る」がどれほど重要な体験か、下地となる知識がどれほど想像を膨らませるのか、そういうのを体感した特別展だった。印象に残ったものを3つ。
図録
ポストカードを屏風と同じように折って飾ってるやつ、こっちの方が実体験に近い。
屏風にハマっていて理由は単純にデカくてカッコイイからなんだけど、実物を見ると(展示は展示だけど)屏風として折って立てられているのと平面で写真になってるのじゃ全然、全く違う。見に行く前に本で城やデカい寺の屏風は遠くから座って見るのを想定してるケースが多いから美術館では遠くからしゃがんで見るのが良いとあったので、邪魔にならないように下のアングルから見るようにしてるんだけど、松林図屏風は本当にすごい。正直写真で見てるだけだとへ~何がすごいの?って思っていたんだけど、1本1本細かく描写された松の葉や水墨だけで表現された遠近で、潮の香りが立ち込める岸辺の朝霧だった。静寂に包まれた朝の霧。時折風が吹いて松の木が揺れる、霧で霞む遠くに松の木が見え隠れする。どうしてこんなに持て囃されるんだろうってずっと思っていた松林図屏風だからこそ、一番印象に残った作品。東博所蔵で割と見る機会があるからまた行きたいし是非色んな人に見てほしい。
2つ目は狩野山楽による「松鷹図襖・壁貼付」(二条城)
探幽じゃなくて山楽なの!山楽!いいんだよ!いや探幽も良いんですが、3つ目は探幽なので。とにかくめっちゃカッコイイ。部屋の奥行をきっと感じさせるであろう長く伸びる青、力強くも洗練された松、とにかくカッコイイ鷹。桃山展と言っておきながら美術史の観点で江戸初期も入ってて、これは家康が作った二条城にある襖なので厳密には江戸初期の作品。動乱の世を抜け、豪華絢爛だけでなく静かな力強さを表し始めたという説明書きがあったのを覚えている。二条城にある松鷹図襖をいつか見たい。
いやめっちゃカッコイイな…?今年私が急に日本美術に(浅く)ハマった一番の理由は「余白の美」と「構図力」だから、この作品は当たり前に好み、超好み。雪が積もった梅、春の象徴、枝の先から飛び立つ鳥。春の訪れ、希望、未来。立ち止まって眺めてる間絶え間なく頭に湧き出るポエム…和歌とか読めたらめっちゃ良かったのになとか思ったりした。無理。
ノリノリで鈍器図録買ったのにまだ全然読めてないから正月休みのうちに読みたいです。
②きもの展【東博】
先にニコ美の解説を見ていて楽しかったから行ったんだけど、これも生で見たら火消半纏が最高に刺さって。
火消たちは木綿に刺子をした半纏着て水を被り火消しに向かい、裏返しにして写真のような「入れ墨」を自慢しつつ帰還したらしい。だから国芳の絵柄が人気だったんだとか。何点か展示されてる中で一番めを引いたのが「素戔嗚尊八岐大蛇図」
一番くたってよれってて何回か縫い直してる感も感じられて、人間が使ってたんだなぁと思った。本の向こうくらい遠い昔のものだけど、同じ「人間」が着ていたんだなってたくさんある着物の中でもこれに一番そういうのを感じて暫く動けなかったな。図録の写真は綺麗にしてるからわかんないけど。
③日本美術の裏の裏【サントリー美術館】
これ美術館マニアの人たちにはあんま好評じゃないらしい笑 展示がちょっと一般ウケ狙いすぎてたのは私にもわかるレベルだったけど、それで一般客が集まるならいんじゃないかなと私は思った。初心者だし。一番面白かったのは「かるかや」
いや寝泊りしてるっていうか何それ?っていう。へたうま…?うま…??室町時代の説教本の挿絵。
もう一つ、ミニチュア。江戸後期に繁盛した雛人形屋さんで売られていた超精巧なミニチュア。通常サイズと並べて置いてあってその精巧さが本当すごかったし、小さいのカワイイ~♡って当時もやってたんだなーと思うとなんか身近に感じるよね。
この特別展は撮影可でしたのでイチデジ持って行きました。
その他今年行った特別展など(そんなにない)
ピングー展【松屋銀座】
幻想の銀河【ザ・ギンザスペース】
成田美名子原画展【マルイ】
3年前?にも銀座の画廊に行ったけど永遠に私の神
ルドンのグラン・ブーケ
石岡瑛子展【現美】
ポスター怖い
夜間トーハクすごいカッコイイ